「市民力」
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市民力支援人のブログ 第60回 行く年,来る年、 求められるチェンジ 2008.12.31
政治家の選出は市民の責任 (その3)
問題は「政」である。 この1年「財」は随分市民を裏切ってきた。 食品の産地偽装、 偽物混入、 農薬入り食品や汚染米販売等々、 さらに雇用面で派遣切りや大卒の内定取り消しなど経営者の風上におけない行跡が続いた。 「官」も同罪であった。 居酒屋タクシーはまだしも年金算定における給与改ざん問題はその罪業の深さに戦きを感ずるが、 国家公務員制度改革問題も土壇場で2010年に先送りされ、 予想通りの裏技で打っ棄られてしまったのである。 そうした「官」「財」を抑えるのが「政」なのに、 政治家諸侯は政局問題に明け暮れてその役割を果たせないどころか、「政」のトップにある麻生首相は3年後の消費税引き上げを政治日程に入れようというのであるから、 どちらを向いて政策を展開しようというのか、 呆れるばかりである。
政治家の選択にはもっとわれわれ市民が責任を持たなければいけないだろう。 ところで遠からざる将来の日本の行政組織は道州制であるという。 筆者は地方への権限と財源の委譲に賛成であるが、 地方の政治にも一抹の不安感を禁じえないものである。 正直申して、 まだ地方の市民力が充分熟していないように感ずるし、 現状でも的確な選良を選び出しているか疑問であるからである。 地方業界のボスを選び、庁舎や図書館等の新築や道路補修何かに利権がらみの公金を支出することにやたらに熱心であったりするし、自治体の議員になれば名誉職で調査費もつくし、海外観光旅行にも行けるというぐらいの認識の議員も少なくないようだ。しかしその尻はすべて税金で市民の負担となってくるのである。そういう議員が出るくらいならボランタラリー精神に富んだNPO自治体の運営を委嘱すればよいだろう。
かつて日本のある自治体にどうしても動物の仮面を付けないでは議場に出ないという議員がいた。結局出張旅費を誤魔化したりして馬脚をあらわし失脚したようだが、ドイツの社会学者マックス・ウエーバは「所得も資産も無い人間は政治に顔をだすな」と述べているのは的を射ているだろう。そしてその政治家を選ぶのは市民なのである。

    政治力の強いドイツの市民力
たびたび外国のことを申して恐縮であるが、 例えばドイツが普仏戦争の勝利を導いた鉄血宰相ビスマルクによって、 近代国家として独立したのは1870年であった。 当時自由都市国家や領邦国家の数が約300も分立していて、 伝統的に地方自治の意識は高かったと言われる。 国家という限りは立法、行政、司法の3権と小規模ながら軍隊ないし市民による自警組織も保有していたのである。筆者はかつてローテンブルグというバイエルン州の観光都市に3ヶ月ばかり滞在したことがあるが、よくそうした地方都市に観光に行くと中世風の衣装を身に着けた行列に出くわすことがある。彼らは市民による自警団である。オランダのレンブラントの絵にも名作といわれる自警団の出陣の作品がある通りである。そうした伝統があってか、現状でもドイツの地方自治の成果は大きく、 日本の消費税にあたる付加価値税の取り分はまず地方から先に取り分を取得し、 その残りを中央に回金するという具合でその比率も大筋は人口数により、 また年によって多少違うことはあるがほぼ半々と聞いている。

実益を狙う簡便なフランスの自治体
フランスはローマの植民地でガリア地方といった頃、 キリスト教の布教区の関係からいわゆるコンミューンという3万8千を超える最小の行政単位がある。 中には人口100人以下のコンミューンもあり、 政府はかつてそうしたミニ行政単位を統廃合するマルスラン法を施行したが失敗している。 こうしたコンミューンはフランス人に取っては合併によって然るべき大きさに成長させるより、 小さいままで存続する方が彼等のノスタルジート実益に合致するし、 安上がりだと言うのが、 実利的なフランス人らしい。
忘れてならないのはそうした適当に小さい行政単位が彼等のお気に入りでもあって、 日本のようなたいした人口数でもない市町村がその首長と大勢の市町村議員を備え、 多額の費用を掛けた選挙によって庁舎と議場を備えるのは、 市民に多額の税負担を負わすのではないかとかつて日本に滞在した知人のフランス人は笑っていたものである。 またフランスのコンミューンは、 その首長と議員を選挙で選ぶ愚を避け、 議員の中から首長を輪番で選ぶなど、できるだけ費用を節約することが賢明だとされているようである。 
因みにこうした小さいコンミューンでは議員の中から市長ないし町長を選び、日本のような仰々しい行政面の理事(市長や収入役)と立法面の議員の2層構造になっていないのが普通である。 昨今はボランテイアのNPOの役員等が議員を兼ねたりして市民の税負担を抑える例が少なくないという。 利権を漁る地方業界の有力者など入りこむすきはないし、 市民の実生活に即した行政が推進できるのである。 要は政治家を抑え込めるのは市民なのである。

道州制に入る前に
何も人口幾らに対して議員何人、 或いは歳費がどうだとか、 わが国の地方自治法およびその施行令の定めるうんざりする程の錯雑した法体系は、 中央のコントロールの過剰なまでの強さを表している。 道州制の推進に際し、 そうした地方行政の単純化を進めるべきであろう。 少なくとも現行の地方自治体の行政組織の簡素化を進め、 兎に角フランスのコンミューンのように一般市民も議員として動き易い夜間や休日に議会を開く例を参考にすべきでである。 最近そうした地方議会の肥大化を抑える提案が日本総合研究所の高橋 進副理事長が「地方議会は必要か」、「住民総会で代替も一案」と提案されているのは当を得ているだろう。      
また良く問題になる中央政府の委託事業のため地方に中央に籍を置いたままの中央の国家公務員が地方に配置されている現象も奇妙である。 業務の地方移管とともに地方に負担の掛からない方策を十分検討しておくべきであろう. 問題は中央にせよ地方にせよ政治の根底は市民にあるのである。

米国発の金融不況は世界全体の産業、 雇用面にまで拡大し、 実態経済の悪化はこれからであろう。 政府要人が語っているように両3年程度で回復すれば有難いが、 皆さんよいお年を迎えられますように祈ります。

この記事に対するコメント
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プロフィール

Author:「市民力」支援人
大阪生まれの加賀金沢育ち。 旧東京銀行を定年で終え証券会社役員に転出、
中部大学 大学院教授、 オハイオ大学客員教授等を経て現在浜松大学講師。
その間海外駐在が欧州8年(ドイツ6年、 英国2年)、 マレーシア2年、 米国1年
と10年を超え、 そうした国々をハブにして業務に観光を加えると訪れた国は
80カ国におよんでいます。
そのため外国から日本を眺める機会が多く、 特に欧米諸国の市民生活を見聞し、
国民とも違い、 住民とも人民とも違う市民の存在と活動を学ぶことができました。
それは市民革命を経験した長い歴史に支えられたものであるのに、 わが国では
市民革命の歴史もなく、 市民は政官財に欲しいままに抑え込まれています。

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